【デフレ社会でのスポーツクラブ】
インフレ型産業である「スポーツクラブ」は「デフレ社会」が長引くと非常にもろい経営体質を露わにします。
多くの人々が「給与」の削減にあい、「健康」に使う「お金」も減少の一歩をたどります。
今の日本社会は「デフレ」です。
商品・サービスの価格を安くすることや価格はそのままで「付加価値」を高める以外、このデフレ社会で生き残る事は出来ません。
では「スポーツクラブ」について述べてみましょう。
【最近の傾向】
スポーツクラブの「経営形態」は主に2つあります。
「スポーツマンが経営に携わっている会社」
スポーツクラブのインストラクターが経営を握っているタイプで、「コナミスポーツ」などがそれに当たります。
スポーツクラブのオペレーションについては詳しいものの、企業の運営に必要な財務知識や組織を動かす経営ノウハウに関しては能力を欠いています。
簡単にいえば「数字」に弱く、「知識」に乏しいといえます。
極めて「動物的」な考え方を持っていて 行動パターンは「群れる」ということです。
社会が「インフレ状態」であればこのような形態でも会員数は増加することができましたが今はデフレです。
「経営のプロが経営にタッチして運営している会社」
「ジョイフィット」を運営しているウェルネスフロンティア(オカモトホールディングス・グループ)などがそれにあたります。
この経営形態は理想な形ですが「トップダウン」的な考え方を重視するため、「数値優先」の考え方が先行してしまい「行き過ぎる」と「数字に弱い運営スタッフ」との対立が「勃発」します。
特に「経営陣」が「目標」を見失った場合などにその対立が大きくなります。
デフレがあまり深刻化していなかった時代に成長した「老舗スポーツクラブ」は「デフレ社会」への対応が遅れ、「電気料金」「人件費」「サービス」などのコストダウンが対応出来ないまま 現在の経営状況を現しています。
【コナミの憂鬱】
コナミスポーツクラブは「マイカルグループ」であった「ピープルエグザス」をTOBで取得し、その後 中・小のスポーツクラブの吸収合併を繰り返し、また巻く間に日本最大の「スポーツクラブ」に成長しました。
ところがその「肥大化した組織」
を動かすだけの「組織」が出来ていませんでした。
体を動かす「筋肉」や「神経」が備わない巨大な体が出来上がってしまったのです。
その巨大な体のまま「氷河期(デフレ)」を迎えてしまったのです。
インフレ時代についてはこれらの「数字」にとらわれる事なく経営できていましたが、長期にわたる「日本のデフレ社会」(現在も進行中)では、「やる気」だけでは数字は伸びません。
【デフレに対応した新形態のスポーツクラブ】
(デフレ社会」の特徴)
デフレ社会で勝ち残るためには「デフレ」が「何」であるかを認識しないと対応出来ません。
(キーワード)
・給料・所得の減少がデフレなので「低価格」「高付加価値」が要求される。
・「価格」に敏感
・全てにおいて「消極的」
・「運動」もデフレ
「健康」を維持するには
(道端を走れば良い。)
(登山すれば良い。)
(市営プールで泳げばいい)
(公園で「ゲートボール」すればいい)
などなど。
お金のかかる「スポーツクラブ」で「運動」する意味はなくなっているのです。
「デフレ」化した社会では「徹底したコスト削減」を「消費者」(会員)に還元しなければ新たな会員獲得は不可能です。
会員としての「メリット」が実感出来ないから「離れて」しまうのです。
【付加価値を勘違いするな!!】
「高付加価値」=「高級」と勘違いしている人が多いのに驚きます。
でもこれは間違いです。
「付加価値」とは価格が同じでも「価格」に反映されない価値(サービス)があるということです。
簡単にいえば「オマケ」がついていることなのです。
例えば「ラーメン店」。
同じラーメン1杯でも
・「餃子」サービス
・「ご飯」サービス
などがこれに当たります。
これは必ずしも「物」である必要はありません。
「他店よりも旨い」「雰囲気が良い」「親切」などもそれに当たります。
ですが、「うちはサービスが良い」「雰囲気が良い」「味が良い」だからウチのラーメンの「価格は2倍します」ではただ単に「高級ラーメン店」であり、「高付加価値」を提供するラーメン店ではありません。
話はそれましたが、「デフレ社会」では「価格引き下げ」、「高付加価値」が非常に重要なのです。
【スポーツクラブの成長戦略(おまけ)】
・巨大スマートフォン市場を取り込む
スポーツクラブだからこそできる「スマートフォン市場」の取り組み
1・ブルートゥースヘッドセットのクラブ内での販売
2・モバイルWi-Fiルーターの販売( WiMAXのみ)
・家族割り、シルバー割引、などの割引の復活
・外部活動の充実(集団ランニング、運動会、里山登山、キャンプ、スキー・スノボーツアー、海水浴など)
1、2は販売利益が見込めますがその他は「利益」は見込めません。
【「誰かが儲かる」と必ず「誰かが損をする」】
これは「社会普遍」の法則ですが、企業活動を続けていくとこの当たり前の考え方が理解出来なくなってしまいがちです。
だからこそ「誰も買わなく」なってしまうのです。
【売り手の「都合」と買い手の「都合」】
売り手は「高く」売りたい
買い手は「安く」買いたい
この「売り手」と「買い手」
の価格が「=」(イコール)になった時に「ベスト」な商いが成立するのです。
どうすれば「買い手」に受け入れてもらえるのか?
経営の悪化している企業は全ての情報不足に陥りやすい状態になりがちです。
「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」
孫氏の有名な言葉ですよね。
企業活動に置き換えれば「顧客の嗜好、自社の強み、弱みをきちんと把握すれば負ける事はないという例えです。
企業経営者や経営を学んでいる人々からすれば「経営戦略のバイブル」となっている「孫氏の兵法」ですが「スポーツマン」あがりの経営幹部ではそういった知識を身につけておらず、「情報」の意味することの重要性を全く理解できないのが現実です。
デフレ社会は「価格の引き下げ」が極めて重要
になってきますが、それら全てを「スポーツクラブ」が賄う必要はありません。
次回は【スポーツクラブの成長戦略(おまけ)】の詳細、注意事項を述べてみたいと思います。
「デフレ社会」でも生き残る道はあるのです。
2015年3月24日火曜日
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